PEGレシオとは|PERでは見抜けない成長株の割安度を測る方法
2026/6/7 — 8分で読めます
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目次
「成長株はPERが30倍、40倍と高くて、割安かどうかわからない」と感じたことはありませんか。PEGレシオは、PER(株価収益率)に企業の利益成長率を組み合わせ、成長性まで含めた割安・割高を判断する指標です。
この記事では、PEGレシオとは何か、計算方法、1倍前後の目安の解釈、PERとの使い分け、そして使う上での注意点までを、NISAで個別株を始めた中級者の方に向けて整理します。
PEGレシオとは|PERに「成長率」を組み合わせた指標
PEGレシオの定義と読み方
PEGレシオは「Price Earnings to Growth Ratio(プライス・アーニングス・トゥ・グロース・レシオ)」の略で、日本語では「ペグレシオ」と読みます。
計算式はシンプルです。
- PEGレシオ = PER ÷ 1株あたり利益(EPS)の成長率(%)
PERは「株価が1株あたり利益の何倍まで買われているか」を示す指標ですが、PEGレシオはここに「利益が今後どれくらい伸びるか」という成長性の視点を加えた指標です。米国の著名な投資家であるピーター・リンチが著書の中で紹介したことで広く知られるようになりました。
PERとPBRの基礎についてはPERとPBRの違いとは?計算式・目安を初心者向けに解説で、EPSについてはEPSとは|1株あたり利益の意味と見方でそれぞれ解説しています。
なぜPERだけでは成長株を評価できないのか
たとえば、ある成長企業AのPERが40倍だとします。日本株の平均PERが13〜17倍程度であることを考えると、一見「かなり割高」に見えます。
しかし、この企業の利益が毎年30〜40%ずつ伸びているとしたらどうでしょうか。利益が増えれば、株価が変わらなくても2〜3年でPERは半分前後に下がる計算になります。つまり「いまは高く見えるが、成長を加味すれば妥当」というケースがあるのです。
PEGレシオは、このような成長スピードまで含めた割安度を1つの数値で評価しようという発想で生まれました。
PEGレシオの計算方法|PER ÷ 利益成長率
計算式と具体例
計算式をもう一度確認します。
- PEGレシオ = PER ÷ EPS成長率(%)
具体的な数値で見てみましょう。
- 例1:PER 30倍、EPS成長率 30% → PEGレシオ = 30 ÷ 30 = 1.0倍
- 例2:PER 40倍、EPS成長率 10% → PEGレシオ = 40 ÷ 10 = 4.0倍
- 例3:PER 15倍、EPS成長率 20% → PEGレシオ = 15 ÷ 20 = 0.75倍
同じPER40倍でも、利益成長率が30%の企業と %の企業では、PEGレシオは1.3倍と4.0倍と大きく異なります。PERだけを見ていては気づけない違いが浮かび上がる点が、PEGレシオの強みです。
利益成長率はどの数字を使う?
PEGレシオで一番悩むのが「成長率にどの数字を当てはめるか」です。一般的に使われるのは次の3パターンです。
- 過去の実績成長率:直近3〜5年のEPS平均成長率。客観的だが、過去が将来も続くとは限らない。
- 予想成長率:会社予想や証券アナリストのコンセンサス予想。将来志向だが、予想の精度にバラつきがある。
- 3〜5年平均(過去+予想ミックス):過去2年実績+予想「〜3年を組み合わせる方法。一時的な業績ブレを均しやすい。
実務的には、景気変動の影響を受けにくくするために3〜5年平均を使うことが多いとされています。短期で計算すると、たまたまの好決算や減益で数値が大きく振れてしまうためです。
決算書から成長率を読み取る方法は決算書の読み方|初心者がチェックすべき3つのポイントで詳しく解説しています。
PEGレシオの目安|1倍前後をどう解釈するか
PEGレシオの目安(0〜1倍・1〜2倍・2倍超)
PEGレシオの目安として、よく紹介されるのは次の水準です。
- 0〜1倍:割安の可能性
- 1〜2倍:おおむね妥当な水準
- 2倍超:割高の可能性
「PER = 成長率」となるとPEGはちょうど1倍になります。ピーター・リンチは著書の中で、PERと成長率が同程度なら適正水準、PERが成長率の半分なら魅力的、逆にPERが成長率を大きく上回る銘柄は魅力に乏しいとしています。
「1倍未満なら割安」は鴩呑みにできない理由
ただし、PEGが1倍未満だからといってすぐに「割安」と判断するのは早計です。理由は3つあります。
- 成長率の前提が崩れる可能性:将来の成長率はあくまで「予想」で、景気後退や競争激化で簡単に下方修正されます。
- 業種特性:景気敏感株(鉄鋼、海運など)は利益のブレが大きく、ある年だけEPSが急成長してPEGが極端に低く見えることがあります。
- 負債やROEの違い:同じPEGでも、財務基盤や資本効率が異なれば、評価は変わります。ROE(自己資本利益率)などと併せて見ることが大切です。
つまり、PEGレシオは「数字が低ければ自動的にお得」というシンプルな指標ではなく、背景にある成長性の質を確認するための入口として使うのが現実的です。
PERとPEGレシオの使い分け|バリュー株とグロース株で変わる
PER/PBR/PEGの使い分けマトリックス
3つの指標は得意分野が異なります。整理すると次のようになります。
- PER:利益に対する株価水準を見る。安定成長企業や成熟企業の比較に向く。
- PBR:純資産に対する株価水準を見る。金融・素材・不動産など資産が重い業種に向く。
- PEGレシオ:利益成長率を加味する。情報通信・SaaS・ヘルスケアなど成長企業に向く。
バリュー株投資ではPERやPBRが中心になり、グロース株投資ではPEGレシオが補助的に使われる、という整理がわかりやすいでしょう。バリュー株とグロース株の違いはバリュー株とグロース株の違いで、PBR1倍割れの考え方はPBR1倍割れとはで解説しています。
業種別の見方
業種ごとに、PEGレシオの使いやすさは変わります。
- 情報通信・ITサービス:成長率が比較的読みやすく、PEGの相性がよい。
- 小売・サービス:店舗数やECの拡大ペースが成長率に直結。中期計画と組み合わせると有効。
- 素材・海運・銀行:利益が景気サイクルで大きく上下するため、単年成長率でのPEG計算は誤解を生みやすい。PBRやROEとの併用が現実的。
5つの財務指標を組み合わせる基本フレームは企業分析の始め方|初心者向け5つの財務指標でまとめています。
PEGレシオを使う上での3つの注意点
1. 赤字・減益企業には使えない
PEGレシオは「利益成長率」を分母にするため、赤字企業や利益が前年より減っている企業(減益)には使えません。成長率がマイナスや計算不能になり、指標として意味をなさなくなるためです。新興企業の中にはまだ利益が出ていない先行投資フェーズの会社も多く、その場合はPSR(株価売上高倍率)など別の指標を使います。
2. 予想成長率の精度に依存する
PEGレシオの分母である成長率は、多くの場合「将来の予想」です。予想は外れることがあります。会社予想が強気すぎる、アナリスト予想が古い、といった理由で実際の成長率が下振れすれば、計算上のPEGよりも実態は割高だったということになります。
このため、PEGを見るときは「どの期間の、誰の予想成長率を使っているか」を必ず確認することが大切です。
3. 高成長は永続しない
30〜40%の高成長が続く企業はごく一部で、多くは数年で成長率が鈍化します。PEGレシオ1.0倍を「適正」と判断したとします。しかし来年以降の成長率が半分になれば、実質的なPEGは2倍となり「割高」に変わってしまうことも珍しくありません。
つまり、PEGレシオは「現在の成長率が今後も続く」という前提に立った参考値であり、過信は禁物です。中長期の経営計画や競合状況、業界全体のトレンドと併せて評価することが現実的な使い方になります。
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PEGレシオを自分で計算するのは手間がかかります。PERは証券会社のサイトで簡単に見つかりますが、EPS成長率は決算短信や有価証券報告書をさかのぼって計算する必要があります。
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※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しており、情報提供を目的としています。投資助言ではありません。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。財務指標の数値や市場の目安は時期や業種により変動します。