ROEとは?計算方法と目安を初心者向けにわかりやすく解説
2026/4/27 — 11分で読めます
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目次
「ROEって聞いたことはあるけど、結局どういう意味?」「何%なら良い会社なの?」。NISAで個別株デビューを考え始めると、必ずといっていいほど出てくるのがROE(自己資本利益率)という指標です。
ROEは、企業が株主のお金をどれだけ効率よく使って利益を生み出しているかを測る数値です。投資の世界では非常に重視されている一方、数字だけを鵜呑みにすると思わぬ落とし穴もあります。
この記事では、ROEの意味・計算方法・目安となる数値・ROAとの違い・注意点まで、投資初心者の方にもわかるようにゼロから解説します。
ROE(自己資本利益率)とは?
ROEの意味を一言でいうと
ROEは「Return On Equity」の略称です。日本語では「自己資本利益率」と呼ばれます。
ここでいう自己資本とは、株主が出資したお金(資本金)や、企業が過去に蓄えた利益(利益剰余金)など、返済義務のないお金を指します。ROEは、株主から預かったお金を使って企業がどれだけ効率よく利益を稼いだかを示す指標です。
たとえば、ROEが10%の企業は「株主のお金100万円あたり、年間10万円の利益を生んでいる」ということになります。
なぜ投資家がROEを重視するのか
株式投資では、企業に自分のお金を預けるようなものです。当然、同じ金額を預けるなら効率よく利益を出してくれる企業のほうが魅力的です。
ROEが高い企業は、限られた資本を有効に活用して利益を上げています。逆にROEが低い企業は、お金を持て余している可能性があります。
このため、ROEは「経営の効率性」を判断する代表的な物差しとして、国内外の投資家に広く使われています。2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」でも、日本企業のROE水準の低さが課題として取り上げられ、大きな注目を集めました。
ROEの計算方法と計算例
ROEの計算式
ROEの計算式はシンプルです。
ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
それぞれの用語を補足します。
- 当期純利益:企業が1年間の事業活動で最終的に手元に残した利益。売上から原価・販管費・税金などすべてを差し引いた金額です。
- 自己資本:株主が出資したお金と、過去の利益の蓄積(利益剰余金)を合わせたもの。貸借対照表(バランスシート)の「純資産」の中核部分にあたります。
具体的な計算例で理解する
架空のA社を例に、実際に計算してみましょう。
- 当期純利益:50億円
- 自己資本:500億円
ROE = 50億円 ÷ 500億円 × 100 = 10%
A社は株主のお金500億円を元手に、1年間で50億円の利益を生み出したことになります。ROE10%は「100円預けたら10円の利益が出る」効率です。
もう一つ例を見てみましょう。B社は当期純利益が30億円、自己資本が600億円の場合です。
ROE = 30億円 ÷ 600億円 × 100 = 5%
B社はA社の半分の効率でしか利益を生み出せていないことがわかります。このように、ROEを比較することで企業の「稼ぐ効率」の違いが見えてきます。
ROEの目安は何%?
伊藤レポートが示す「8%」の基準
「ROEが何%なら合格ラインなのか」は多くの投資家が気になるポイントです。
日本で広く知られている目安は8%以上です。これは2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」(正式名称「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト最終報告書)で示された数値です。
同レポートでは、日本企業が中長期的に目指すべき水準として「最低限8%を上回るROE」が提言されました。
なお、その後2022年には伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)が公表され、サステナビリティを踏まえた長期的な企業価値創造(SX)に議論が広がっています。ただし「資本コストを上回るROE水準」の重要性自体は引き続き重視されています。
一般的には以下のように整理されることが多いです。
- 8%未満:改善の余地がある
- 8〜10%:平均的な水準
- 10%以上:効率的な経営ができている
- 15%以上:非常に高い収益効率
ただし、これはあくまで全体的な目安です。ROEの数値だけで企業の良し悪しを判断するのは早計です。後述する注意点も合わせて確認してください。
業種によって異なるROEの水準
ROEは業種によって平均値が大きく異なります。たとえば、2025年3月期のデータ(日本取引所・決算短信集計結果ベース)では、全産業の平均ROEが約9.4%なのに対し、製造業は約8.5%、非製造業は約10.6%と差があります。
一般的に、以下の傾向があります。
- IT・情報通信業:設備投資が少なく、少ない資本で高い利益を出しやすいためROEが高い傾向
- 製造業・インフラ業:工場や設備に多額の投資が必要なため、ROEはやや低い傾向
- 金融業:レバレッジ(借入)の構造が特殊なため、単純比較が難しい
企業のROEを評価するときは、同じ業種の平均値と比較するのが基本です。ROEが12%の企業でも、業種平均が15%なら「効率が悪い」と判断される場合もあります。