キャッシュフロー計算書の読み方|3区分でわかる企業の体力
2026/5/20 — 8分で読めます
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目次
「利益が出ているのに倒産する会社がある」と聞いたことはありませんか。これはキャッシュフロー計算書を読むとその理由がよくわかります。
本記事では、決算書3表の最後のひとつ「キャッシュフロー計算書(CF)」の読み方を、投資初心者の方にもわかるよう解説します。営業CF・投資CF・財務CFという3つの区分の意味、組み合わせから企業の状態を読むコツ、そして黒字倒産の仕組みまで、ひと通り押さえていきましょう。
なお、決算書全体の俯瞰や、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
キャッシュフロー計算書(CF)とは
キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement、以下「CF計算書」)は、ある期間に企業の現金(キャッシュ)がどれだけ増減したかを示す決算書です。期首にいくら現金があり、期中にどんな理由で増減し、期末にいくら残ったか。その流れを可視化します。
「利益」と「キャッシュ」は違う
「利益が出ている=現金が増えている」と思いがちですが、実はこの2つは別物です。
たとえば、商品を1,000万円で販売しても、入金が3か月後なら、その時点で手元に現金は入ってきません。会計上は売上として計上されますが、現金は動いていないのです。
このように、利益と現金の動きは必ずしも一致しません。だからこそ、損益計算書(PL)だけでなく、CF計算書で「現金の動き」も確認する必要があります。
決算書3表での位置づけ
決算書には大きく分けて以下の3つがあります。
- 損益計算書(PL):1年間にいくら稼いだか(利益)
- 貸借対照表(BS):ある時点でいくらの資産・負債を持っているか
- キャッシュフロー計算書(CF):1年間に現金がどう動いたか
PLは「儲け」、BSは「財産の状態」、CFは「現金の流れ」を表します。3つはそれぞれ役割が違い、組み合わせて見ることで企業の実態に近づけます。
キャッシュフロー計算書の3つの区分
CF計算書は、現金の動きを営業活動・投資活動・財務活動の3つに分けて記載します。それぞれ何を意味するのか、ひとつずつ見ていきましょう。
営業CF(本業で稼いだ現金)
営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)は、本業でどれだけ現金を生み出したかを示します。商品の販売や仕入れ、人件費の支払いなど、企業の本業に関する現金の動きが記載されます。
営業CFは、プラスであることが基本です。本業で現金を稼げていれば、設備投資や借入返済の原資になります。逆にマイナスが続いている場合、本業そのものに問題がある可能性があります。
投資CF(将来への投資)
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)は、設備投資や有価証券売買、M&Aなどの動きを示します。たとえば工場を建てたり、機械を買ったりすると、現金が出ていくのでマイナスになります。
投資CFは、マイナスであることが多いのが普通です。なぜなら、企業は将来の成長のためにお金を使うものだからです。ただし、過剰な投資が続くと、現金が枯渇するリスクもあるため、営業CFとのバランスが重要になります。
逆に投資CFがプラスの場合、保有資産を売却している可能性があります。これが続くと、将来の成長余地が失われている恐れもあります。
財務CF(資金調達と株主還元)
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)は、銀行借入・社債発行・配当金支払い・自社株買いなどの動きを示します。
- 借入金が増える → 財務CFはプラス(現金が入ってくる)
- 借入金を返済する → 財務CFはマイナス(現金が出ていく)
- 配当金や自社株買いを実施 → 財務CFはマイナス
財務CFのマイナスは、必ずしも悪いことではありません。借入返済が進んでいたり、株主還元が積極的だったりする企業は、財務CFがマイナスになります。詳しくは自社株買いとは|目的と株価への影響もご参照ください。
3つのCFの組み合わせで企業の状態を読む
CF計算書の真価は、3つの区分の組み合わせを見るときに発揮されます。営業CF・投資CF・財務CFそれぞれのプラス・マイナスを組み合わせると、企業の状態をパターンで読み解けます。
3つのCFの符号の組み合わせは2×2×2=8パターンありますが、ここでは代表的な4つを取り上げます。
優良企業型:営業CF(+)/投資CF(-)/財務CF(-)
本業でしっかり稼ぎ、その現金で将来への投資を行い、さらに借入返済や株主還元もできている状態です。もっとも理想的なパターンとされ、安定した成熟企業に多く見られます。
成長企業型:営業CF(+)/投資CF(-)/財務CF(+)
本業で現金を稼ぎつつ、さらに借入で資金を調達して積極的に投資している状態です。事業拡大期にある成長企業によく見られます。借入が増えるため、自己資本比率の推移にも注意が必要です。自己資本比率については自己資本比率とは|目安と計算方法を参考にしてください。
衰退企業型:営業CF(-)/投資CF(+)/財務CF(+)
本業で現金を稼げず、保有資産を売却したり、借入で資金を補ったりしている状態です。一時的な要因なら問題ないこともありますが、長く続く場合は事業の見直しが必要なサインといえます。
事業転換型:営業CF(+)/投資CF(+)/財務CF(-)
本業の現金収入と保有資産の売却で得た現金を、借入返済に充てている状態です。事業の縮小や事業構造の見直し局面で見られます。
このように、3つのCFの符号の組み合わせから企業のステージや戦略が読み取れます。1年だけでなく3〜5年の推移を見ることで、より正確な判断ができます。
個別企業のCFの数値や推移は、KabuWiseの企業分析レポートで銘柄コードを入力するだけで確認できます。財務指標を一覧で把握したいときに便利です。