ROAとは?計算方法とROEとの違い・業種別目安を解説
2026/5/8 — 10分で読めます
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目次
「決算短信を見ていたらROAという指標が出てきたけど、ROEとどう違うの?」と感じたことはありませんか。ROA(総資産利益率)とは、企業がもつ資産すべてをどれだけ効率よく利益につなげているかを示す指標です。
ROAは、ROE(自己資本利益率)と並ぶ「収益性」の代表指標です。長期投資で企業の実力を見極めるうえで、両者をセットで理解することがとても大切になります。
この記事では、ROAの計算方法から、ROEとの違い、業種別の目安、そして両指標を組み合わせて読み解く実践的な方法までを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
ROA(総資産利益率)とは?基本の意味
ROAは「Return On Assets」の略で、日本語では総資産利益率と呼ばれます。企業が保有するすべての資産(総資産)を使って、どれだけの利益を生み出せたかを示す指標です。
たとえば100億円の資産を持つ会社が5億円の利益を出していれば、ROAは5%です。同じ100億円の資産で10億円の利益を出している会社があれば、ROAは10%となり、より効率的に資産を活用していると判断できます。
ROAが高い企業ほど、「少ない資産でしっかり稼げる、筋肉質な経営をしている」と評価されます。逆にROAが低い企業は、資産を持っているわりに利益を生み出せていない可能性があります。
なぜROAが投資家に注目されるのか
株式投資、特にNISAでの長期投資では「その企業が将来も安定して稼ぎ続けられるか」が重要です。ROAは企業の本質的な稼ぐ力を映し出すため、優良企業を見つけるヒントになります。
業種ごとの平均値や、過去の推移と比較することで、その企業が業界内でどれくらいの位置にいるのかを把握できます。
ROAの計算方法と求め方
ここでは、ROAの計算式と具体例を見ていきましょう。
基本の計算式
ROAは以下の式で計算します。
ROA(%)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
- 当期純利益:1年間の事業活動で得た利益から、税金などすべての費用を差し引いた、最終的に企業に残った利益
- 総資産:企業が保有するすべての資産(現金、設備、在庫、有価証券など)の合計
これらの数字は、決算書(特に損益計算書と貸借対照表)に記載されています。決算書全体の読み方については、決算書の読み方の記事もあわせてご覧ください。
計算例で理解する
具体例で確認してみましょう。
たとえば、A社の総資産が500億円、当期純利益が25億円だとします。
ROA = 25億円 ÷ 500億円 × 100 = 5%
つまりA社は、500億円分の資産を使って25億円の利益を生み出している、ということです。一般的にROAが5%を超えると優良企業と評価されることが多いため、A社は標準的な水準だと言えます。
ROAをデュポン分解で深く理解する
ROAは、次の2つの要素に分解できます。
ROA = 売上高利益率 × 総資産回転率
この分解方法は「デュポン分解」と呼ばれ、企業の収益力を要素ごとに分けて分析する代表的な手法です。
- 売上高利益率:売上のうち、どれだけ利益として残るか(収益性)
- 総資産回転率:総資産をどれだけ売上に転換できているか(効率性)
同じROA5%でも、「利益率は高いが回転率が低い」企業(高単価ビジネス)と、「利益率は低いが回転率が高い」企業(薄利多売ビジネス)では、ビジネスモデルがまったく違います。この分解視点は、企業の特徴を読み解くうえでとても役立ちます。
ROAとROEの違いを徹底比較
ROAとよく比較されるのがROE(自己資本利益率)です。両者は似ているようで、見ているものが大きく異なります。
計算式の違い
2つの指標を並べてみます。
- ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
- ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
分母が「総資産」か「自己資本」かが、最大のポイントです。総資産は自己資本+他人資本(借入金など)で構成されるため、ROAはより広い範囲を見ています。
ROEについて詳しく知りたい方は、ROEとは?計算方法と目安を初心者向けにわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
何を測っているかの違い
視点を整理すると、次のようになります。
- ROA:会社全体(株主と債権者の両方)から見た資産活用の効率
- ROE:株主の立場から見た、出資金に対する利益効率
つまりROEは「株主目線」、ROAは「会社全体の経営効率目線」と覚えると区別しやすくなります。
借入の影響の違い(ここが最重要)
ROEとROAでもっとも大きく違うのが、借入の影響を受けるかどうかです。
具体例で考えてみましょう。自己資本100億円の企業が、借入100億円を加えて200億円の総資産にしたとします。利益が10億円だった場合:
- ROE = 10億 ÷ 100億 = 10%(自己資本だけで割る)
- ROA = 10億 ÷ 200億 = 5%(借入も含めた総資産で割る)
このようにROEは、借入を増やすほど見かけ上数値が高くなる性質があります。これを財務レバレッジと呼びます。一方ROAは借入の有無に関係なく、純粋な資産活用の効率を示します。
「ROEは高いけれどROAが低い企業」は、借金をテコにROEを押し上げている可能性があり、注意が必要です。財務の健全性を見る自己資本比率とはもあわせて確認すると、より立体的な判断ができます。