営業利益と経常利益の違いとは?投資で見るべきポイント
2026/5/24 — 8分で読めます
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目次
決算書を読んでいると、「営業利益」と「経常利益」という似たような言葉が出てきます。どちらも企業の「利益」を表しますが、実は意味も計算方法もまったく異なります。
この2つの違いを理解できるかどうかで、企業の本当の実力を見抜けるかが変わります。本記事では、営業利益と経常利益の違いを投資初心者向けに、計算式・読み方・業種別の傾向まで具体例を交えて解説します。
営業利益と経常利益の違いを一言でいうと
まずは結論から押さえましょう。2つの利益の違いは、シンプルに次のとおりです。
- 営業利益=本業で稼いだ利益
- 経常利益=本業+財務活動で稼いだ利益
たとえば、自動車を作って売っている企業を考えます。クルマを売って得た儲けが「営業利益」です。一方、その企業が保有している株式の配当や、銀行借入の利息など、本業以外の経常的な損益まで含めたものが「経常利益」です。
つまり、営業利益は「本業の力」、経常利益は「企業全体の通常の稼ぐ力」を示しているのです。
そもそも決算書全体の構造から確認したい方は、決算書の読み方を解説した記事もあわせてご覧ください。
営業利益とは|本業の儲けを示す利益
営業利益とは、企業が本業(営業活動)でどれだけ稼いだかを示す利益です。損益計算書(PL)の上から3番目に登場します。
営業利益の計算式
営業利益は次のように計算します。
- 売上総利益 = 売上高 − 売上原価
- 営業利益 = 売上総利益 − 販管費
「販管費」とは販売費および一般管理費の略で、人件費・広告宣伝費・家賃・水道光熱費など、商品を売るために必要な経費のことです。
具体的には、売上高1,000億円・売上原価600億円・販管費300億円の企業なら、売上総利益は400億円、営業利益は100億円となります。
営業利益が示すもの
営業利益は、「その企業の本業がどれだけ儲かっているか」をストレートに表します。営業利益が高い企業は、本業のビジネスモデルが強いといえます。
逆に、営業利益が赤字(営業損失)の場合は、本業そのものが赤字ということになります。たとえ財務活動で利益が出ていても、企業の収益基盤としては危ういサインです。
損益計算書全体の流れを把握したい方は、損益計算書(PL)の読み方の記事で5つの利益の関係を整理してみてください。
経常利益とは|本業+財務活動の儲け
経常利益とは、本業の利益(営業利益)に、本業以外の経常的な損益を加減した利益です。「ケイツネ」と略して呼ばれることもあります。
経常利益の計算式
経常利益は次の式で計算します。
- 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
たとえば、営業利益が100億円、営業外収益が20億円、営業外費用が10億円なら、経常利益は110億円となります。
営業外収益・営業外費用の中身
「営業外」とは、本業ではないけれど経常的(通常的)に発生する損益のことです。具体的には次のような項目が含まれます。
- 営業外収益:受取利息、受取配当金、有価証券売却益、為替差益、不動産賃貸収入など
- 営業外費用:支払利息、有価証券売却損、為替差損、社債利息など
このうち、投資家がとくに注目すべきは「受取配当金」と「為替差損益」です。受取配当金は、企業が保有している株式から受け取る配当のことで、保有株式が多い企業ほど大きくなります。
為替差損益は、外貨建ての資産・負債が円換算されたときに発生する損益で、輸出入企業や海外取引が多い企業の経常利益に大きく影響します。為替が株価や企業業績にどう影響するかについては、円安・円高で株価はどう動くかの記事で詳しく解説しています。
営業利益と経常利益の関係を読み解く2パターン
営業利益と経常利益を比較すると、その企業の体質が見えてきます。代表的なのは次の2パターンです。
パターン1:営業利益>経常利益
営業利益のほうが大きいケースです。これは、本業は黒字だけれど、本業以外で損失が出ている状態を意味します。
典型的な要因としては、次のようなものがあります。
- 多額の借入金があり、支払利息が大きい
- 為替差損が発生している
- 投資有価証券で損失が出ている
有利子負債の多い企業や、海外売上比率の高い企業でよく見られるパターンです。
パターン2:営業利益<経常利益
経常利益のほうが大きいケースです。本業に加えて、財務活動でも利益を上げている状態です。
典型的な要因は次のとおりです。
- 保有株式からの配当収入が多い(持株会社・商社など)
- 余剰資金を運用して利息収入を得ている
- 為替差益が発生している
持株会社や大手商社、また金融収益が大きい企業ではこのパターンになりやすい傾向があります。
営業利益と経常利益、投資判断ではどちらを重視すべき?
「結局、営業利益と経常利益、どちらを見ればいいの?」という疑問が出てきます。これは、何を知りたいかによって変わります。
- 本業の競争力を知りたい→ 営業利益(および営業利益率)を重視
- 企業全体の通常の稼ぐ力を知りたい→ 経常利益を重視
長期投資の場合、まず注目したいのは営業利益です。なぜなら、本業が稼げない企業は、長い目で見て持続的に利益を出し続けるのが難しいからです。本業がしっかり儲かっていることが、投資先として安定した収益基盤を持つ条件になります。
そのうえで、経常利益と営業利益のギャップをチェックすることで、財務体質や為替の影響度合いまで読み取れます。両方をセットで見るのが理想です。
営業利益や経常利益から最終的な利益(当期純利益)を1株あたりに換算した指標が「EPS(1株あたり利益)」です。利益と株価の関係を理解したい方は、EPSとは何かを解説した記事もあわせて参考にしてみてください。
業種別に見る営業利益と経常利益の傾向
業種によって、営業利益と経常利益の関係は大きく変わります。代表的な業種の特徴を見ていきましょう。
- 金融業(銀行・保険):受取利息や有価証券運用益が大きいため、経常利益のほうが営業利益より大きくなる傾向。そもそも銀行業は「経常収益」「経常費用」という独自の表示区分を使います。
- 総合商社:子会社や関連会社からの配当収入が大きく、経常利益が営業利益を上回ることが多い業種です。
- 製造業(輸出企業):為替差損益の影響を受けやすく、円安・円高によって経常利益が大きく振れる傾向があります。
- 不動産業・建設業:借入金が多く、支払利息の負担が大きいため、経常利益が営業利益を下回ることがあります。
つまり、業種ごとの特徴を踏まえて利益の構造を見ると、企業のビジネスモデルがより立体的に理解できます。
営業利益・経常利益を見るときの注意点
2つの利益を活用するうえで、知っておきたい注意点が2つあります。
一過性の為替差益に注意
経常利益は、為替差損益によって大きく変動することがあります。たとえば、急激な円安が進んだ年は、輸出企業の経常利益が膨らみがちです。
しかし、これは一過性の要因による増減であり、企業の本来の実力ではありません。経常利益が前年から大きく伸びていても、その中身が為替差益による一時的なものか、本業の成長によるものかを必ず確認しましょう。
IFRS採用企業には経常利益区分がない
近年、海外展開する大企業を中心に、IFRS(国際会計基準)を採用する企業が増えています。IFRSでは、損益計算書に「経常利益」という区分が存在しません。
代わりに「営業利益」と「税引前利益」が表示されるのが一般的です。そのため、IFRS採用企業を分析するときは、経常利益にこだわらず、営業利益と税引前利益で本業と財務活動の成果を読み解く必要があります。
営業利益は最終的に当期純利益へとつながり、自己資本に対する稼ぐ効率を示す「ROE」にも影響します。利益と資本の関係を知りたい方は、ROEとは何かを解説した記事もご覧ください。
営業利益と経常利益を活用して企業分析を始めよう
本記事のポイントを整理します。
- 営業利益=本業の儲け、経常利益=本業+財務活動の儲け
- 営業利益 = 売上総利益 − 販管費
- 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
- 営業利益と経常利益のギャップから、財務体質や為替の影響が読み取れる
- 長期投資ではまず営業利益で本業の競争力を確認し、次に経常利益とのギャップをチェック
- 業種ごとの特徴やIFRS採用の有無も意識する
とはいえ、自分で決算短信を読み解くのは時間も手間もかかります。KabuWiseでは、銘柄コードを入力するだけでAIが営業利益・経常利益・利益率の推移などをまとめた企業分析レポートを自動生成します。気になる企業の利益構造を効率よく確認したい方は、KabuWiseで企業分析を始めるをぜひお試しください。
また、利益と株価の関係を示す代表的な指標であるPERやPBRの違いを知ると、利益情報をより活用できるようになります。あわせてPERとPBRの違いを解説した記事も参考にしてみてください。
※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。