売上総利益率・営業利益率・経常利益率の違い|3つの収益性指標
2026/6/13 — 10分で読めます
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目次
決算書を読めるようになってくると、次に気になるのが「この会社、本当に儲かっているの?」という質問への答えです。同じ売上1,000億円の会社でも、手元に残る利益は10億円のところもあれば200億円のところもあります。この「儲け方の質」を測るのが利益率です。
本記事では、収益性を見る代表的な3つの指標である売上総利益率・営業利益率・経常利益率の違いを、投資中級者向けに整理します。計算式・業種別の目安・同業比較の作法・トレンドの読み方まで、実際に企業比較に使えるレベルで解説します。
売上総利益率・営業利益率・経常利益率の違いとは
まず結論から整理します。3つの利益率はいずれも「売上高に対して、どれだけ利益が残ったか」を%で示す指標ですが、計算に使う利益の段階が違います。
- 売上総利益率(粗利率):商品・サービス自体の付加価値の高さを表す
- 営業利益率:本業全体の稼ぐ力(販売・管理コストを含めた効率)を表す
- 経常利益率:財務活動も含めた企業全体の安定的な収益力を表す
つまり、損益計算書を上から下に降りていくにつれて、コストを差し引きながら「最終的に何%残っているか」を段階的に見ていく指標です。決算書の読み方を理解した次のステップとして、ぜひ押さえておきたい考え方です。
3つの利益率の計算方法と意味
それぞれの計算式と意味を、順番に見ていきましょう。いずれもシンプルな割り算ですが、分子の利益がどの段階のものかを意識することが重要です。
売上総利益率(粗利率)の計算と意味
売上総利益率は、売上高に占める売上総利益(粗利)の割合です。計算式は次のとおりです。
売上総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
売上総利益とは、売上高から売上原価(仕入れや製造コスト)を差し引いた利益です。たとえば、売上1,000億円・売上原価600億円の会社の売上総利益は400億円、粗利率は40%となります。
この指標が高い会社は、「商品やサービスそのものに高い付加価値がある」と読み取れます。ブランド力・技術力・独自性が強い企業ほど粗利率は高くなる傾向があります。逆に、価格競争が激しい業界や仕入れコストが高い業界では粗利率は低くなります。
営業利益率の計算と意味
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合です。計算式は次のとおりです。
営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いた利益です。販管費には、人件費・広告宣伝費・物流費・家賃などが含まれます。つまり、営業利益率は「本業のすべてのコストを差し引いたあと、何%の利益が残るか」を示します。
営業利益率は本業の稼ぐ力を最も端的に表すため、投資家が企業比較で最も重視する指標のひとつです。粗利率が高くても、販管費が膞らんで営業利益率が低い会社は「商品は良いが、売るのにコストがかかりすぎている」と読めます。
経常利益率の計算と意味
経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合です。計算式は次のとおりです。
経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100
経常利益は、営業利益に営業外収益(受取利息・為替差益・持分法投資利益など)を加え、営業外費用(支払利息・為替差損など)を差し引いた利益です。本業に加えて、財務活動を含めた「経常的な企業活動全体」の利益を表します。
経常利益率は、借入金が多い企業や海外売上比率の高い企業の収益力を見るときに特に役立ちます。営業利益率と経常利益率の差を見ることで、財務体質や為替の影響もある程度推測できます。
3つの利益率の比較表
3つの指標の違いを、表で整理します。
項目 | 売上総利益率(粗利率) | 営業利益率 | 経常利益率 |
|---|---|---|---|
計算式 | 売上総利益 ÷ 売上高 | 営業利益 ÷ 売上高 | 経常利益 ÷ 売上高 |
含むコスト | 売上原価のみ | 売上原価+販管費 | 売上原価+販管費+営業外損益 |
表すもの | 商品・サービスの付加価値 | 本業の稼ぐ力 | 企業全体の経常的な収益力 |
見えるもの | ブランド力・原価競争力 | 販売・管理の効率 | 財務体質・為替の影響 |
一般的な目安 | 30%以上が高水準 | 10%以上が優良水準 | 7%以上で安定 |
3つの指標は、上から下に降りるにつれて「企業の実態に近づく」と捉えると理解しやすいです。粗利率は「商品の力」、営業利益率は「事業の力」、経常利益率は「会社全体の力」を映す鎏だと考えてみてください。